社会色認識率の分布
コミュニケーションギャップの構造が数量的に把握できた
私たちは視覚や言語を通して社会的メッセージを伝え合っています。しかし、時には自分の描くイメージと他者との間にギャップを感じることがあります。実験では、社会的メッセージを視覚によって発信し、それを的確に受け止める能力を測定しました。その結果、ギャップの実態がはっきり見えるようになりました。
(1)個人差が極めて大きい
社会的メッセージを的確に受けとめない0%の人から、受けとめる80%を超える人まで、予想外の幅がありました。一般的には社会的に未熟と考えられる未成年(高校生)の集団の中にも文字通り社会的に未熟な0%の人から、一般的社会人の水準を大きく超える高度な社会色率の人が混在しています。

(2)未熟群では意見を集約しにくい
自らは未熟群であることを認識していないため、集団としてひとつの意見に集約することが難しくなります。
(3)未熟群を調査対象にすると結果が混乱する
従来より、調査対象が片寄ると、標準値と大きく離れる現象がありました。このため、特定の集団を避けたり、数群に分けて統合するなどの方法でゆがみを少なくしてきました。
(4)高度社会性群は孤立しやすい
合議制で視覚(デザイン)表現を決定する場合、他とギャップを感じても自らの能力を認識していないため、自説を主張しにくくなります。一方、強引に自説で集約すると孤立します。
(5)ブランド化が未熟群に有効
商品をブランド化し、保守的多数派にすると、個人の迷いをカバーします。選択に自信がなくても「多くの人が支持している」と感じ、安心して選べます。
集団別の標準値は社会的訓練度と一致する
(6)高校生は社会的に未熟
大学生、社会人と比較したときに、高校生の社会的未発達さが良く分かります。このグループが時折、社会的に理解しにくい行動を取ることと関係しているのかもしれません。
(7)職能による差
単純職能群(8)(9)と高い社会性を要求される職能群(10)(11)に2分されます。また、大学生の一致率は、この両集団の中間に位置し、卒業後2つの職能群に分離していく関係が見えます。

●データ算出の方法
被験者に社会的なメッセージ性を持つデザインを提示し、好き嫌いを問う形で社会的メッセージの読み取り能力を抽出しました。
●実験に用いたサンプル
2種のデザイン群は合計46点。
全てのサンプルはあらかじめ、共感言語によって社会的メッセージ性が正しく表現されたか判定されています。区分は合格品(A)、否合格品(D)、その中間(B,C)の3区分。
この判定結果は共感言語以外の別な調査でも確認されています。

●%の計算方法
被験者に1、2グループのデザインを提示して好き、嫌いを各5点、計20点ピックアップしてもらいました。
A(合格品)またはD(不合格品)を正しく選択した場合1ptとし、AのサンプルをDと判定した場合はマイナス1ptとします。例えば、8点の正解と1点の反正解があった場合は計7pt/20ptとし、社会色一致率は35%としました。
●社会色と個人色の違い
単純なパターンの配色サンプルを示して好き嫌いを問うと、個人的な嗜好だけが表れます。一方、社会的なメッセージを持つ形、例えばパッケージやポスターを示して好き嫌いを問うと、個人的な嗜好を超えて社会的価値観を反映してサンプルを選びます。これは、その文化集団のもつ価値観の最大公約数でもあります。この選択を社会色といいます。
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