時代の風をとらえ「共感力」で会社再生

70年代、会社閉鎖が秒読みに入った瀕死のアサヒビールを救ったのは新製品の「スーパードライ」だった。たった一つの新製品によって企業が立ち直ったのだ。この奇跡を解説する多くの本では優れた技術陣や生産ライン、営業組織の努力が語られている。しかし、その3条件ではこの大ヒットの謎は解けない。何故なら、瀕死時代とヒット時代の技術力や営業組織は同水準だからだ。 ヒットのカギは共感力だった。「時代の風」をとらえ、時代に共感される市場を開いた「共感力」なのだ。
共感は商品の顔つきで決まる
消費者は商品の顔から共感を得る
共感がわかなければベストセラーにならない。では、どうすれば共感をとらえることができるのか。ポイントは、商品の顔だ。顔にどのような表情があるかだ。
人の印象は、初めて会ったときの一瞬で決まるという。その後、交流があっても大半は修正されず、第一印象のまま固定しているというのだ。だとすれば、最初の遭遇で、いかに好印象を与えられるか、共感を得ることができるかが勝負の分かれ目となる。
第一印象で決まる
商品力は、商品棚での一瞬の見た目で印象が決まってしまう。商品を目にした消費者が関心をもつためには、はっきりとした顔(見た目)が必要になってくる。顔がはっきりとしていないと共感のわきようもない。商品自体がいかに優れていようと、共感がわかなければ、自分とは関係のない単なる物体にしかすぎない。
これは、商品が実際においしいかは関係なく、見た目がおいしそうか、どうかで決まるということを意味する。もちろん、実際においしくなければリピーターが集まらないが、それ以前に、味をチェックされることもなく棚から消えてしまうのだ。ベストセラー戦線へのスタートラインに並ぶことさえできない。
見た目で印象が決まる
私たちは、視覚や聴覚などの五感を通して感情を伝え合っている。視覚は、その中でもっとも強力な感覚といわれている。全体の7〜8割を占め、アメリカの眼科医の研究会では9割と結論されたというほどだ。私たちが感情を伝え合う大半は見た目によっているのだ。
下のテレビCMの一コマを見てみよう。前後の説明がなくとも、色と形だけでしっかりとメッセージはひとりひとりに受け止められている。

見た目の価値を決めるのは感性だ
私たちは、何かの評価をしたり、行動を決める場合、事実に基づいて情報を集め、整理し、取捨選択もしている。しかし、実際は一瞬の見た目の感情で決まり理性の回路はまったく別物のようだ。
見た目は、事実や理性とは関係なく決まってしまう。それを決めるのは感性だ。
どんなに優れた商品でも、顔が間違っていれば感性に触れることはできない。感性に触れないものは共感を呼ばない。消費者の共感を得るためには、共感ゾーンをしっかりととらえた「共感力」のある顔が必要なのだ。