優れた製品とサービスだけではヒットしない 商品の基本は優れた製品力とサービス。繁盛する店ならば「うまい・安い・早い」の3拍子がそろった店とされる。 しかし、それだけではベストセラー商品になるためのスタートにすぎない。ヒットするためには消費者の「共感」という要素が不可欠なのだ。
キリンのどごし〈生〉
共感力が売上げを決める
ベストセラー商品の共感力を測定したら、各々のジャンル中の最高点だった。
第3のビール、キリン「のどごし<生>」の共感力は満点の90ptだった。「元気」でかつビールらしい「こだわり」を感じさせるパッケージは「のどごし<生>」だけ。他の競合商品は、カジュアルな元気さが欠けるか、ビールらしい癒しやしみじみ感が欠けていた。
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第3のビールの共感ゾーンは「カジュアル」+「しみじみ」

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店頭で売られている様々なタイプのビールの共感力を採点した。採点の基準は上記の1カジュアルと2しみじみの共感ゾーンとの一致率だ。カジュアルでかつビールらしいしみじみ感のあるパッケージが高得点となり、別なタイプの商品は低得点になる。採点してみるとキリンのどごし生>だけが突出していた。カジュアルさだけではビールらしさがなく、得点が低くなる。採点は90pt満点で、70pt以上が共感ゾーンとほぼ一致していることを表す。
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「共感力」がベストセラーをつくる
消費者の共感を得た商品だけがベストセラーになる。そのためには、消費者が共感するゾーン(共感ゾーン)を見つけだし表現する「共感力」が必要になってくる。 「しかし」と思う人は多いはずだ。共感は意識下でつくられる。共感は、消費者自身も意識していない感性によって生まれるのだから、とらえどころがないじゃないかと。 それは思い違いだ。消費者の意識下にある共感ゾーンが見えてくる手段がある。
新しいカジュアル市場を開拓したキリン「のどごし<生>」
下に並べた第3のビールは、ビール系飲料の中でもっとも安価でカジュアルなジャンルだ。その中で「のどごし〈生〉」だけが空前のベストセラーになった。ヒットのカギとなったのは、若者の心をとらえた「共感力」だ。アサヒ「スーパードライ」が破竹の快進撃を続ける中、キリンは、反撃の準備を着々と進め、若者の共感をとらえたカジュアル路線を開拓していった。
第3のビールの共感ゾーンは「カジュアル」でかつ「ビールらしい深い味わい」にある。カジュアル感をどんなに強調しても、ビールらしい味わいがなければ単なる清涼飲料になってしまう。「カジュアル感」と「ビールらしさ」の両面を表したのは「のどごし〈生〉」だけだった。
共感ゾーンをとらえ、それを的確に表現した「共感力」こそがベストセラーのカギなる。「共感力」がなければ、技術とサービスだけでは消費者の共感をえることはできないのだ。
共感力採点の方法
各パッケージデザインの、共感ゾーンとの一致度を測定した。共感ゾーンは各商品の商品としての特徴と対応し第3のビールは「カジュアル」+「しみじみ」となる。一致度の測定は共感言語システムの一部である造形スケールを用いた。造形スケールは100種ほどあり、その中から設定したゾーンに強い影響力のある5スケールを選んだ。第3のビールでは、@配色のトーン位置、A白色の量、Bグラデーションの量、Cレイアウト様式、D商品名の書体や大きさ、漢字英字の違いの5項目だ。各項目は18pt満点、計90pt満点として70pt以上を「ほぼ一致」水準とみなした。各項目の採点基準はあらかじめ決められ、例えば、@配色のトーン位置では、純色と少量の微暗色の組み合わせを18ptとし、淡色は5ptとした。 一方、全ての商品は同じ共感ゾーンをめざしているわけではなく、別な共感ゾーンで全く別なptとなる。
共感言語とは
意識下の本音と交信するための言語だ。私たちの行動を決定する条件は「本音で共感がわいた時」だが、従来の調査方法では本音をつかむ事が難しかった。それは、意識上の「言語」を手がかりに意識下を探るためで、直感や経験で補ってきた。しかし、共感言語のしくみができたので、直接的に完成の本音が読めるようになった。